📌 この記事でわかること
- 子供の歯並びが気になり始めるサインと、よくある相談パターン
- なぜ子どものうちに矯正を考えたほうがいいのか(顎の成長との関係)
- 矯正相談に行く前に知っておきたい5つのこと
- 保護者の不安への歯科衛生士としての本音
子どもの歯並び、気になり始めたあの日
歯科衛生士として、毎日たくさんのお子さんの口の中を見ています。矯正についての相談を受けることも少なくありません。
でも、いざ自分の子ども(11歳と10歳)の歯並びが気になり始めたとき、「あれ、これって矯正したほうがいいのかな…?」と、正直なところ不安になりました。
知識があるはずの私でさえそうだったので、初めて矯正を考えるお母さん・お父さんが悩むのは当然のことだと思います。
この記事では、矯正相談に行く前に「これを知っておけばよかった」と私自身が感じたことを、歯科衛生士としての視点と、親としての視点の両方からお伝えします。
歯並びが気になり始めるタイミングって?
お子さんの歯並びが気になり始める時期は、多くの場合乳歯から永久歯への生え変わり期です。
一般的には6歳前後から生え変わりが始まるとされていますが、成長のスピードはお子さんによって大きく異なります。4歳台で下の前歯が抜ける子もいれば、12歳頃を過ぎてもまだ乳歯が残っている子もいます。年齢はあくまで目安であり、大切なのは「何歳か」よりも「お子さんの歯がいまどの段階にあるか」です。
現場でよく保護者の方から相談を受けるのは、こんなケースです。
- 前歯が生え変わったら、ガタガタに重なって生えてきた
- 上の前歯が出ている気がする(出っ歯)
- 下あごが前に出ている(受け口)
- 乳歯の時はきれいだったのに、永久歯になったら変わった
親としては「このまま放っておいて大丈夫?」と焦る気持ち、すごくわかります。ただ、生え変わりの途中は一時的に歯並びが乱れることもあるので、すべてが矯正の対象になるわけではありません。
だからこそ、お子さんの成長段階を正しく把握してもらうために、まずはかかりつけの歯医者さんに診てもらうことが大切だと感じています。
なぜ、子どものうちに矯正を考えたほうがいいのか
「大人になってからでも矯正はできるのに、なぜ子どものうちに?」——おそらく多くのご家庭が感じている疑問だと思います。
子どものうちに矯正を検討する最大の理由は、顎(あご)がまだ成長途中にあるということです。
大人の矯正では、すでに成長が完了した顎の中で歯を動かすしかありません。スペースが足りなければ抜歯が必要になることもあります。
一方、子どもの時期は顎の骨がまだ柔らかく、成長する力を利用して顎そのものを広げていくことができます。歯が並ぶためのスペースを、顎の成長とともに自然に確保していけるのは、この時期ならではの大きなメリットです。
ただし、ここでも成長のタイミングには個人差があることを忘れてはいけません。
だからこそ、矯正の開始時期についてはかかりつけの歯医者さんに相談して助言をもらうのが一番確実です。定期検診で口の中を継続的に見てもらっている先生であれば、お子さんの成長の経過を把握した上で、適切なタイミングを一緒に考えてくれます。
矯正相談に行く前に知っておきたい5つのこと
① 相談だけなら無料の医院も多い
「矯正相談=すぐに治療スタート」ではありません。最近では、初回の相談を無料で行っている歯科医院も増えています。
相談だけで帰っても大丈夫ですし、その場で決めなくて問題ありません。「まず話を聞いてみる」くらいの気持ちで行けると、気持ちの負担が軽くなるかもしれません。
② 第一期治療と第二期治療の違い
小児矯正には大きく分けて2つの段階があります。ただし、以下に示す年齢はあくまで目安です。成長のスピードはお子さんによって大きく異なるため、実際には歯の発達段階で判断することが重要です。
第一期治療(混合歯列期)
一般的には6〜12歳頃とされます。
この時期の治療は、顎の成長をコントロールしたり、永久歯がきれいに生えるスペースを確保することが中心です。前述のとおり、顎がまだ成長途中のこの時期だからこそできる治療があります。
第二期治療(永久歯列期)
永久歯がおおむね生え揃った段階から行う治療です。一般的には12歳以降とされますが、これもお子さんの歯の生え変わりの進み具合によって前後します。歯を細かく動かして最終的な歯並びを整える治療が中心です。
第一期だけで十分な場合もあれば、第二期まで必要になる場合もあります。最初の相談時に「どちらが必要になりそうか」の見通しを聞いておくと安心です。
③ 費用の目安と支払い方法
矯正の費用は、地域や医院、治療内容によって大きく異なりますが、一般的な目安として以下のような範囲が多いようです。
- 第一期治療:20万〜50万円程度
- 第二期治療:30万〜80万円程度
- 第一期+第二期:50万〜100万円程度
※あくまで目安です。実際の費用は医院ごとに異なりますので、必ず事前に確認してください。
分割払いやデンタルローンに対応している医院もありますので、費用面で不安がある場合は相談時に聞いてみるのがよいと思います。また、医療費控除の対象になるケースもあるので、確認しておくと少し負担が軽くなるかもしれません。
④ セカンドオピニオンは遠慮しなくていい
矯正治療は数年にわたる長い治療です。だからこそ、一つの医院だけでなく複数の先生の意見を聞くことは、決して失礼なことではありません。
治療方針や使う装置、費用は医院によって異なります。お子さんに合った方法を選ぶためにも、セカンドオピニオンを活用することをおすすめします。
⑤ まずはかかりつけの歯医者さんに相談を
矯正を考え始めたとき、いきなり矯正専門の医院を探すのはハードルが高いかもしれません。まずは普段通っているかかりつけの歯医者さんに相談してみるのがおすすめです。
かかりつけの先生であれば、お子さんの歯の状態や成長の経過を把握しています。矯正が必要かどうか、始めるとしたらどのタイミングが良さそうかについて、お子さんの状態に合わせた助言をもらえます。
必要に応じて矯正専門の先生を紹介してもらえることも多いので、最初の相談窓口としてかかりつけ医を活用するのは、とても合理的な選択だと思います。
保護者の方からよく聞く不安と本音
歯科衛生士として現場で働く中で、矯正について保護者の方からこんな声をよくいただきます。
「費用が心配で踏み出せない」
これが一番多い悩みです。たしかに矯正は安い治療ではありません。でも、分割払いや医療費控除をうまく使えば、月々の負担を抑えられる場合もあります。まずは費用の見積もりだけでも聞いてみると、漠然とした不安が少し和らぐかもしれません。
「子どもが痛がらないか心配」
装置をつけた直後や調整後に、多少の違和感や痛みを感じるお子さんは少なくありません。ただ、多くの場合は数日で慣れていくことが多いです。お子さんの様子を見ながら、担当の先生に相談していくことが大切です。
「周りの子はもう始めてるみたいで焦る」
お気持ちはよくわかります。でも、矯正のタイミングはお子さんの歯やあごの状態によって一人ひとり違います。成長のスピードには個人差がとても大きいので、周りと比べるよりも、「うちの子にとってベストなタイミングはいつか」をかかりつけの歯医者さんと一緒に考えることが大切だと思います。
歯科衛生士として伝えたいこと
歯並びというと、見た目のことが一番に気になると思います。もちろんそれも大事なのですが、歯科衛生士の立場からお伝えしたいのは、歯並びは口腔ケアのしやすさにも大きく関わっているということです。
歯が重なっていたり、凸凹していると、歯ブラシが届きにくい場所ができます。そうすると、磨き残しが増えて、むし歯や歯周病のリスクが高くなることがあります。
毎日のブラッシングで「ここ、いつも磨きにくいな」と感じる場所があれば、それは歯並びが影響しているかもしれません。
お子さんの将来の口腔健康を考えると、歯並びを整えることは見た目だけでなく、予防の観点からも意味があると感じています。
矯正中の口腔ケア、ここがポイント
矯正装置をつけると、普段以上に口腔ケアが大切になります。現場でお伝えしているポイントをいくつかご紹介します。
- 歯ブラシは小さめヘッドが使いやすい:装置の周りを細かく磨くには、コンパクトなヘッドの歯ブラシが便利です
- タフトブラシを活用する:装置と歯の間、ワイヤーの下など、普通の歯ブラシでは届きにくい場所に効果的です
- フロスや歯間ブラシも取り入れる:装置の種類によっては使いにくい場合もありますが、かかりつけの歯科医院で使い方を教えてもらうと安心です
- フッ素入り歯磨き粉を使う:矯正中はむし歯リスクが上がりやすいので、フッ素配合の歯磨き粉で予防を意識しましょう
- 定期的なクリーニングを受ける:セルフケアだけでは限界がありますので、定期的にプロのクリーニングを受けることをおすすめします
お子さんが歯磨きを嫌がる時期もあるかもしれませんが、矯正中だからこそ、無理なく続けられる方法を一緒に見つけていけるといいですね。
まずは気軽に相談してみてください
子どもの矯正は、費用も期間も大きな決断です。だからこそ、焦らず、情報を集めて、納得した上で進めてほしいと思っています。
この記事の中で繰り返しお伝えしましたが、成長のスピードはお子さんによって本当にさまざまです。「○歳だから始めなきゃ」ではなく、お子さんの歯や顎の発達段階に合わせて判断することが何より大切です。
私自身、歯科衛生士として知識があっても、自分の子どものこととなると迷うことばかりでした。「知っているはず」なのに不安になる——そんな経験があるからこそ、同じように悩んでいるお母さん・お父さんの気持ちが少しわかる気がしています。
まずはかかりつけの歯医者さんに相談するだけでも大丈夫。お子さんの歯の状態を診てもらって、「今どんな選択肢があるのか」を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
この記事が、最初の一歩を踏み出すきっかけになればうれしいです。
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